シンポジウムレポート

平成29年度産学連携サービス経営人材育成事業
最終報告会 サービス経営人材育成大学サミット2018 議事録

日時 平成30年3月5日(月)14:30~17:30
場所 リロの会議室 コンフォート新宿
出席者 【開会宣言】
トーマスアンドチカライシ株式会社 代表取締役    力石 寛夫氏

【基調講演】
株式会社温泉道場 代表取締役社長          山﨑 寿樹氏

【特別講演】【コメンテーター】
松井サービスコンサルティング
代表 サービス改革コンサルタント サービスサイエンティスト
                          松井 拓己氏
【コメンテーター】
株式会社温泉道場  執行役員            三ツ石將嗣氏

【採択校発表者】【パネリスト】
九州大学大学院 芸術工学研究院准教授        松隈 浩之氏
近畿大学    経営学部商学教授          高橋 一夫氏
慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科特任助教 佐藤 千尋氏
立命館大学スポーツ健康科学部 教授         長積  仁氏
(敬称略)
【閉会宣言】
経済産業省 商務情報政策局
商務・サービスグループ サービス政策課  企画官  大西 啓仁

【事務局】
株式会社JTB総合研究所

1.開会宣言

トーマスアンドチカライシ株式会社 代表取締役 力石寛夫氏
  • ご存知の通り日本には2年制、4年制含めてホテルやレストランの経営学部を持った学校が1校もなかった。その点で欧米諸国に比べて日本は教育環境が遅れている。その中でサービス産業の経営人材育成を目指すこの経産省事業の果たす役割、意義は大きい。
  • 本日各大学から発表していただく様々な教育方針を産業界の方もより良く理解し、日本のサービス産業の人材育成の一環として活用していただきたい。教育界と産業界が一緒になって教育環境を整備することは我が国のサービス産業の質的向上に果たす役割、意義が大変強い施策だ。
  • 経産省にはできる限り施策を続けていただき、更なる人材育成に貢献していただきたい。大勢の教育関係者、産業界関係者が集まっており、限られた時間ではあるが産学連携の名のもとに、産業界と教育界の交流の場となることを願っている。

2.取組紹介①

3.産業界からのメッセージ①

基調講演「おふろから文化を発信する~温泉道場の温浴業界及び地域の活性化、人材育成の取組み~」

株式会社温泉道場 代表取締役社長 山﨑寿樹氏
  • 我々は「おふろから文化を発信する」を企業理念に、温浴施設の事業再生、居抜き専門の運営会社をしている。銭湯、サウナ、健康ランドの業界では少ないビジネスモデルである。温浴業界は、ホテルや旅館よりもニッチで厳しく、優秀な人材が入って来にくい。
  • 日帰り温泉は地域の衣食住の文化、銭湯文化を違ったテイストでPRできるという課題観を持って始めた。どこの日帰り温泉でも泉質や地域性はあるが、食事や建物、サービス面でも地域性が加味されていない。そこを地域のショールーム、文化の発信基地として使おうと考えている。おふろからライフスタイルを提案する企業だ。
  • 我々のミッションは、温浴業界での新たな価値創造、地域活性、人材育成。人材育成は非常に力を入れている。現状ではホテルや旅館とは違う売上の作り方、サービスを学ぶ場所がなく、事業を進めながらカリキュラムを作り育成に力を入れている。社員の年収の10%を研修に当てている。
  • 店を運営することにフォーカスされがちだが、社内でもデザイン部門を持ち、マーケティングのリサーチからコンセプトメイキング、広告プロモーション、運営を一気通貫で行っている。こうすることで責任を持ってリスクを取って進めている。
  • 温浴施設の売り上げを上げるだけではメッセージ性としては弱い。それを核として将来的には1次から3次産業まで、顔が見える形でお客様に衣食住を提供したい。テーマパーク型の施設を運営したい。
  • 今までの業界には給料が安く、長く働き、休みが取りづらいというイメージがあった。それを打破するために収益性を挙げ、給料を払えるようにし、経営的に安定させ中長期的なキャリアを形成することを念頭において事業計画を作っている。会社事業の存続を念頭にメンバーが地方で稼げるようになることをテーマにしている。
  • 温泉道場と言う渋い名前だが女性が多い。創立8年目の若い会社だが、非常勤を合わせると200名が働いており、平均年齢は32歳ほどだ。埼玉県の会社だが県外の地方出身者が多い。将来的には地元に戻ってビジネスをしたいという人材も多い。新卒が多く教育に重きを置いている。業界のイメージとは裏腹に辞める人は少なく、若いうちからしっかり裁量をもって仕事をしてもらっている。失敗も経験させるため、あえて失敗しそうな案件も稟議を承認している。。中途採用はサービス産業出身者が少なく、銀行、税理士、コンサルタント、デザイン、スポーツメーカー等既存の枠組みに捉われない発想ができるメンバーがそろっている。
  • 看板ブランドはおふろcaféで、カフェにお風呂が付いた業態だ。健康ランド等の居抜きでリノベーションしている。その他に昭和レトロな温泉銭湯等テーマ性を持たせたものを各地域に合わせて展開している。
  • 起業家育成として、起業家が生まれれば雇用が生まれ地域が活性化するため、社長を生みだす取組みをしている。夢会議という社内ベンチャーピッチのような取組みをしている。リーダーシップ研修ではサバイバルゲームをワークショップ形式で行っている。座学だけではなく、ワークを重要視している。
  • 研修制度としては、先進旅館やホテル、地域活性化の事例を1日のツアーで集中的に見学している。勤務外でも勉強したい人に温泉道場ゼミというゼミ形式の勉強会を行っている。稼げる力を付けてもらうことが重要だ。AIや働き方が大きく変わる中で本質的に稼げる力を身につける講座を開いている。
  • 外部と連携し、地域の起業塾への協力、受け入れている地域おこし協力隊員の企画で温浴施設でプログラミング教室を開催といった事例もある。
  • どんどん失敗することが社風だ。失敗しないことはあり得ない。失敗したらいかに素直に変えられるか、へこたれないかが重要だ。致命的なことはケアするが、失敗させることも重要だ。人事制度も昇格降格が激しい。降格しても再チャレンジしてもらう。怪我をしながら学んでいくことが経営人材の育成につながる。
  • 湯治休暇という年1回3日間の休暇制度があり、3連休で県外に宿泊を伴う旅行をした場合には、3万円を補助している。入社3年未満の社員にも高い旅館・ホテルに宿泊し、レベルの高いサービス体験を受けるのはセミナーに行くよりも良い体験である。100%全員がこの休暇を取得している。
  • 現場の社員・パートスタッフに感謝する感謝祭を年に3回開いている。役員が、日頃がんばっている従業員や家族に感謝するおもてなしの会である。
  • 我々としても将来ある人材がこの業界に入って来られるように魅力づくりをしていきたい。我々の経験はつたないが協力できることがあれば、声をかけていただきたい。

4.取組紹介②

九州大学大学院 芸術工学研究院准教授 松隈浩之氏
  • タイトルはコンテンツビジネスプロデューサー育成プログラムで、通称CIAOと呼んでいる。
  • 目的はコンテンツ制作に関わる知識や理解を有する人材を育成することである。芸術工学部はデザインを専門にする学部で、主にアニメや映画、ゲームを制作する知識を持ち、作れる人を育成する。それに加えて起業、経営マネジメントができる人材を育成することとしている。
  • この事業ではコンソーシアムという命題があったが、福岡はコンテンツ系の会社が多く、彼らと一緒に進めている。具体的にはレベル5と言う会社を筆頭にしたゲーム会社の団体・GFF、KOO-KIという映像制作会社やチームラボと一緒に連携を組んでいる。
  • 対象者は大学院の1年生だが、将来的には社会人に広げていきたいと考えており、習得するべき能力はコンテンツ制作、起業、マネジメント、実践力だ。
  • これまで、主に三つの柱となる授業を作った。一つは実際に企業で働いている方に来てもらい講義をしていただく。二つ目として、その後に演習を行い、学んだことを実際にワークショップでビジネスへの落とし込みを考える。三つ目はプロデューサー演習である。
  • 最終的にシンポジウムを開催し、今後は活動を続け、国際的にも連携していく。コンテンツだけではなくプロダクト、観光、食においてもデザインが必要となってくるので、そういった業界とも協力し活動を広げていきたい。
  • 平成32年度を目途に学府改組を進めていて、連携、カリキュラム編成について話合っている。
近畿大学 経営学部 商学科教授 高橋一夫氏
  • 2014年12月に総合戦略で謳われ始め、DMOは地域の稼ぐ力を引き出す役割を持った組織だという意識が広がっていった。2017年には観光立国推進基本計画の中でDMOを100か所作ることが謳われ、登録候補法人、登録法人を観光庁が取り上げ、地域の観光のイノベーションを起こす機運が盛り上がってきた。
  • DMO人材の育成が急務だと考え、DMOとは何かを明らかにした上でカリキュラムの構築をおこなった。すなわち、DMOとは観光ビジネスの共同体であり、観光地経営を担う専門性機能を有し、行政との権限と責任を明確にしたプロフェッショナルな組織であるとした。
  • DMOは市場に向けてマーケティング、マネジメント、エリアマネジメントを展開する組織だ。自治体の職員は数年で人事異動するため、プロパー職員を中心に人材育成が必要となる。
  • 組織経営と社員のモチベーションアップが図れ、行政の仕組みを知って協働して地域の観光振興が推進できて、その結果、多様な関係者と良い緊張感がある関係を築くことができる。それを担える人材を育成するため、コミュニケーション能力、経営運営スキル、マネジメントマーケティングの知識と理論、課題解決能力を習得するプログラムとして20の科目を作った。
  • DMOの人材育成のニーズは北海道から沖縄に渡っているが、マーケットボリュームは決して大きくはない。また、観光庁の調査では、観光協会、DMOに勤めるプロパー職員の51%は年間収入が400万円未満だ。大学に集まることは時間的にも費用的にも難しい。そのため単なるe-learningではなく双方向の議論ができるEdtechを検討しており、来年度はNTTグループに参画していただき成し遂げていきたい。
慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 特任助教 佐藤千尋氏
  • 我々は技術革新を活用した高収益市場でのサービス経営人材育成事業、2015年度から3年間続けてきたが、サービスデザインコースとして2018年4月より開講する。
  • 成熟社会で人々が生きがいを感じることができるサービスをデザインできる人材を育成することを目的としている。商学部と連携して活動していて、コンソーシアム企業は業種が様々だ。
  • 幅広く情報基盤設計、管理会計、マーケティング、ウェルビーイング、哲学を学びながら実践的活動を経て、サービスデザインを学んでいくコースで、実践的な授業、プロジェクト型の講義をコンソーシアム企業と取り組んでいる。
  • 大学院として提携している海外の大学の学生と一緒に、カリキュラム開発と実証を実践してきた。大きなプロジェクトの概要としては人が元気なる町を作るというゴールを設定した。ウェルビーイングとして、その町に暮らしている人が自立している、能力がある、人と繋がっていることが実現できるサービスを考えてきた。
  • 鹿児島県指宿市の砂蒸し風呂が有名な地域にある旅館である白水館のオーナーに特任教授として来ていただき、そこをベースにサービスを設計と試行を繰り返し行なってきた。
  • 先月末にシンポジウムを開き、成果報告をさせていただいた。自分の企業のサービスデザインをして欲しいという申し出もあった。引き続き取組を継続していきたい。
立命館大学 スポーツ健康科学部教授 長積仁氏
  • Jリーグと2年間、スポーツビジネス経営人財育成プログラムを進めてきた。
  • プログラム開発の背景として、スポーツ産業の市場規模を2025年までに現在の3倍にも及ぶ15.2兆円に押し上げようとする国のもくろみに反して、アドミニストレーションに関心が薄れる若者が増える中、スポーツ産業を成長化させるに相応しい人材が育っていないことである。
  • 言い換えれば、スポーツをマネタイズする人材が育成されておらず、スポーツマネジメントに関連する学科やコースが設置されているものの、多くの大学は「体育学部」の枠組みからブレイクスルーするような「人財」を育成することができていない。大学だけでは、限界があると考え、民間企業と「人財」を育成する必要があると考え、コンソーシアム会議を重ねる中から既存のビジネスに他産業、他企業とのコラボレーションの中で新しい価値を生む人材を育てることが重要だというヒントを得た。
  • プログラムのターゲットは社会人で、スポーツでビジネスをクリエイトする力、社会的課題を解決する力、新たな価値を創造する力に視点を置きスポーツとのコラボレーションによって新しい価値を生みだす力を養うためにプログラム開発に踏み出した。
  • 特長はインプット、ワークショップ、アウトプットというサイクルで回すことで、今年はパイロット講座を開設した。一つは千葉ジェッツとのプログラム、もう一つはデータスタジアムとのビジネスの可能性の検討プログラムだ。今後は、様々なコンソーシアム企業を活用しケースを開発していきたい。
  • 2018年度秋から自走プログラムとして開講する予定だ。

5.ポスターセッション

6.産業界からのメッセージ②

特別講演「サービスの本質を科学する~サービス改革6つの壁を乗り越える~」

松井サービスコンサルティング代表 松井拓己氏
  • サービスの改革をお手伝いさせていただいているため、その理論をご紹介し、ビジネスでのサービスの課題、その解決の糸口の参考にしていただきたい。
  • 著書の「日本の優れたサービス~選ばれ続ける6つのポイント~」では、経産省の日本サービス大賞という取組で、第一回目に受賞された31件のサービスを理論でひも解いて、業種を超えた学び合いを橋渡しさせていただいている。
  • 優れたサービスは日本にたくさんあるが、個人芸やカリスマ経営者の直感的センスに頼ったサービス事業ではいけない。 “つくりとどけるしくみ”によって、優れたサービスを狙い通りに生み出せるようになることが、サービス事業のステージアップには欠かせない。サービス経営人材はまさに、組織的にしくみとして優れたサービスを生み出せるかが腕の見せどころではないか。
  • サービス事業には顧客、従業員、事業がある。ビジネスの現場ではそのどれかが犠牲になって上手くいっていないことが多い。事業戦略や営業強化のテーマの実態は、いかに売りつけるかという観点で顧客を犠牲にしている企業が多い。おもてなし、CS向上、サービス向上は、サービス提供が自己犠牲を払ってでも何でもするべきだと思われている。これでは事業や従業員自身が疲弊していく。顧客が価値を感じることと、従業員がやりがいを感じることと、事業成長に繋がる成果が出せること、このどれも犠牲にしないサービスが実現できるかどうかが、サービス経営人材には求められている。
  • 私がよくいただくご相談を並べてみると、主に6つの壁があることが分かる。サービスはおまけだと思われている建前の壁、いくら取り組んでも顧客に響かない顧客不在の壁、現場に丸投げしてしまう闇雲の壁、プランは描けても実現しない実行の壁、いつも取組が長続きしない継続の壁、やらされ感から抜け出せない情熱の壁がある。
  • 我々がお客様に提供することの中で、「事前期待」に合うものだけがサービスと呼んでもらえる。いくら良かれと思って提供したものでも、この事前期待に合っていなければサービスとすら呼ばれない。現場では何をすれば喜んでもらえるのかという打ち手の議論がほとんどだ。その前にどういう事前期待に応えるべきかという議論を徹底的に始めるべきだ。
  • 事前期待の的を見定め、その的に当たる球を徹底的に投げていく。こうすると組織的にサービスの価値向上に集中できる。同時に、的に当たらない球は投げないことに決める。これにより、業務の効率化と価値向上の両立化が可能となる。
  • サービスの人材育成は、事前期待を捉えるアンテナの感度を高めることと、捉えた事前期待に応えるスキルを組織的に磨くことの2つがある。多くの企業では事前期待に応えるスキルの育成ばかり行われている。様々な業界で活躍するハイパフォーマーをひも解くと、事前期待に応えるスキルが高いというよりは、事前期待を捉えるアンテナの感度が抜群に良い人が多い。アンテナのひも解きをすると、どのような人材を育てるべきかが見えてくるのではないか。加えて、事前期待に応えるスキルの育成も、現場任せになっていることが多いので、組織的なテコ入れが必要だとも思う。
  • サービスの評価は、成果に対する評価とプロセスに対する評価に分解できる。サービスマネージャーは成果に対する評価ばかりを気にしているが、プロセスの評価を組織的にいかに高めるかが、サービスの伸び代をつかむためには重要な観点となる。
  • サービスプロセスをモデル化して、どのプロセスで何を努力することが、サービスの価値が高まり、リピートや紹介につながるのか、勝負プロセスという観点でプロセスを組み直すことが有効。これによって現場の知恵や工夫が組織の力に変わっていくだろう。
  • サービスの人材育成とは、今までは受け身型や提案型が多かったが、最近は客自身欲しいものがわからなくなっているため、上手くいかなくなってきている。これからは問題やニーズを一緒に探して、一緒にサービスを組み立てていく探索型や共創型の人材育成が鍵を握っているのではないか。
  • 事業として成果が出せるかどうかは、失点を減らすという方向性と得点を増やすという方向性で変わってくる。成果が出ない企業は失点撲滅型で終わっていることが多い。
  • これからは得点をいかに増やすかという方向で、サービス事業の経営を進めて行けるかどうかが鍵を握っている。大満足のお客様を増やさないとリピーターや紹介は増えない。やや満足の97%がリピートしない。成果の出るCSの捉え方も理解しておく必要がある。

7.パネルディスカッション

テーマ「サービス経営人材の育成と今後の展開」

三ツ石將嗣氏のコメント

  • 今までの産学連携による人材育成は、戦後の経済成長を支えてきた製造業を中心とした、「日本株式会社」の従業員を大量に生産するという観点が強かった。サービス経営人材の育成のためには、こうした考え方を捨てる必要があるが、本日のプレゼンを伺っていると最近では個々の学生に合わせたキャリア形成など新しい動きが感じられ育成、企業にマッチした人材育成が出て来ているが、こうした動きが増えていくことで日本のサービス産業の競争力強化に繋がっていくのではないか。

松井氏のコメント

  • 様々な企業からの相談を受ける中で、大学の先生が言うことはロジカルには頭に入ってくるが経験知としてはピンとこないという方が多い。今日の事例紹介を聞いて、最初は抵抗感があってアレルギー反応がある産業界でも、産学連携でしか生み出せない価値があるということに気付いたのではないか。
◆ 産学連携を推進していくうえでの課題等について

佐藤氏

(実際にプログラムを推進していく中で感じ取られた課題について)

  • 「産学連携」は言うのは簡単だが、実際には困難も多く、コンソーシアムへの間口を広く、出入り自由にすることが良いのではないか。

長積氏

(具体的な対象を踏まえた上での産学連携推進の課題について)

  • 民間企業と協業を進める上で重要なのは、事業のフレームワークを提示した上で、民間企業が参画するメリットを明確に示すことである。

高橋氏

(地域の企業、地域社会と向き合う際の課題や取り組むべき問題について)

  • 特に課題を持ったということはない。研究者の立場になって12年になるが、それまでは民間の旅行会社で23年間仕事をしていたため、社会に役に立たない理論は理論ではないと考えている。先達の研究者の理論も実務の中で鍛えられていったものが最後に残っていく。地域の企業、住民、行政と向き合って進めるにあたって課題を感じたことはない。

松隈氏

(ビジネス系教員と組んで進める上での課題や取り組むべき問題について)

  • 企業によって温度差があり、コンソーシアム参画のメリットを問われることが多く、また、大学と企業ではスピード感が違うので、そこをいかに歩み寄るかが重要だ。

三ツ石氏のコメント

  • 温泉道場という会社は、人材を育成するということを「道場」と社名の中に掲げていることもあり自然に考えている。しかし、温泉道場以外の企業においても、教育現場と連携し人材を育成することは、競争力強化に向けた経済界・企業の急務と考える。
  • ただどうやって「経営」人材を育てるのか。プロデュースする、経営するということは実行してみないとわからないことが多い。進めるにあたっては異を唱えられることもある。経営者しか感じられない苦しさがある。それをいかに学生に伝えていくか。経営者の苦しみと醍醐味をどう伝えていくかが、今後のサービス経営人材を深掘りしていくための課題となる。

松井氏のコメント

  • 4つの大学の取組みが、成果を見据えていたが、メリットの見える化、成果の見える化だけではなく、成果が出ることを企業側に実感してもらうことを念頭に置いてプログラムに仕立てることが大事な観点だ。
  • 先ほど申し上げた6つのポイントでも、重要視していることは成果実感だ。成果が実感できないと忙しさに負けて優先順位が落ちてしまう。その意味では、サービス経営人材は企業に戻ってからが課題で、実学実務を通して事業も人材も成長を加速していけるかが大事な観点だ。
  • また、ビジョンと危機感と使命感に火がつかないとサービス経営人材としては組織を巻き込んでいくエンジンがかからない。何を学んだかではなく、どう生かすかというプロセスの方に力点を置いたプログラムのブラッシュアップも重要だ。
◆ 今後のプログラム発展の方向性について

松隈氏

(今後のプログラムの具体的展開について)

  • 具体的には、カリキュラムを大学院にも組み込み、企業と大学がもっと混ざり合う状況を作っていきたいが、そこに大きな壁を感じている。2年目はそれを強化していきたい。学んだ学生が良かったと言ってくれて、社会に出て活躍してくれることが明確な答えだ。少し時間はかかるがそのようになっていければ良い。

高橋氏

(ICTを活用したプログラムを展開していくにあたって、今後の学びの活用の方向性について)

  • お二人のおっしゃることに違和感はない。実行してみないとわからないということ、実学として活用していくこともその通りだ。我々の理論はどのように役立つのか。思い付きで実践し1000に3つしか成功しないではなく、理論を知ることで100に30は成功するという成功の確率をいかに高めるかが、我々のプログラムの使命だ。
  • 実学は学んでは実践し、実践しては学び直す繰り返しのプロセスだ。この精神性が研究者の中に宿っていないとすれば、我々が作ろうとしているプログラムを実務に向けて試していく力はどこにもないことになる。

佐藤氏

(今後のプログラムの具体的展開について)

  • コンソーシアムも共同研究としてすべての企業と組んでいるため、加入するための資金を頂戴して活動している。大学の責任感、企業が求める対価ということもあるが、慶應義塾の精神である「実学」「半学半教」のスタイルで進めている。

長積氏

(今後のプログラムの具体的展開について)

  • パイロット講座で、スポーツと関係のない企業がプログラムに興味を持ってもらったことで、人材育成を進める上での手応えを少しは感じている。受講料を設定し、プログラムを自走させるためには、質の高い学びを提供し、結果を残さなければならない。また提供する学習の場が、民間企業の協業や産業の育成につながるようなプラットフォームになればと考えている。

松井氏のコメント

  • 企業でサービス改革をするとなると必ず人材育成がネックになることが多い。企業の現状は人材育成の多くがOJTだ。「経験を積め」「背中を見て学べ」と、いきなり現場に放り込んでしまう。個人の経験だけに頼っていては、人材育成が加速しない。今回の取組みがあることで加速することができる。
  • 製造業では製品の設計を命懸けで行うが、サービス業はサービス設計部という部署すらない。現場で良かれと思って行い成功した事例を共有するという程度だ。サービスの設計や教育トレーニングを組織的に取り組むべきだ。
  • 大学が産学連携を通してロジカルに方法論を仕立てて、実学を通してサービス経営人材を育成できるということは、日本のサービス業にとっては価値のある取組みだ。
  • 実践において理論を理解している人材が経験を通して自分の力で加速するというサイクルが、産学連携ならではの生み出せる価値ではないか。

三ツ石氏のコメント

  • サービス経営人材の育成には、サービスは幅が広すぎる、経営者教育は誰が行うのか、人材育成も一言では語れないという三重苦がある。サービス産業側が教育現場との連携で、サービス業にも様々な仕事があるということを体感してもらうように伝えていく努力をしていくべきだ。
  • マニュアルを超えて顧客のニーズを察して半歩先のサービスを提供することが顧客満足に繋がっていくが、察することにはボランティアやディベート、人とのコミュニケーションの経験を積んでいくことが重要だ。温泉道場ではマニュアル以外に自分たちでワークショップ等を開かせ、失敗することもあるが、お客様にどう訴え、集客をするか、またワークショップでのお客様の反応はどうか、経験してもらっている。
  • 本日各大学からご紹介のあった教育プログラムを生み出し、運営されるにあたり、レポートに書けないような苦労があったと思う。そうした苦労・壁を乗り越えるノウハウを、人間対人間で伝えていくと良いのではないか。
  • サービス経営人材とは、社長と学生が繋がる接点を増やしていくことが重要だ。

8.閉会宣言

「大学等におけるサービス経営人材育成の取組強化に向けた宣言2018」の採択

以上

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